## 睡眠医学の生みの親による啓蒙書
著者であるデメント博士は「睡眠医学」の創始者にして「レム睡眠」の命名者である。医学の素人である私だって「レム睡眠」くらいは聞いたことがある。そんな著名な博士が行ってきた啓蒙の経緯と実践的アドバイスが詰まっている。
## 本書を知った経緯
睡眠専門医の方のアカウント @EarlyQuarry をフォローしていて知った。
当直明けの午前中に過覚醒でハイになってる様子ですね。ハイでも前頭葉機能は低下している感じがよく表現されています。そしてそのまま午後外来診療入ったりすると覚醒が低下して本当の眠気が襲ってきます。判断力などの前頭葉機能が低下しミスがでて本当に危ないです。#当直明けは帰ろう https://t.co/MBByuLFl4K
— 河合 真 (@EarlyQuarry) May 4, 2017
## 当たらなかった仮説「夢を見ることは、夜だけ精神異常になるようなもの」
脳波が測れなかったころの黎明期の実験の苦労話も興味深いし、すでに現代ではおおかた棄却された当時の仮説が紹介されているのもおもしろい。特におもしろいのは不眠マラソンとして8日と8時間起き続けたラジオのDJが妄想や幻覚をみたことを「奪われたレム睡眠が、妄想や幻覚に形を変えて、起きている彼にとりついたのだろうか」と仮説を立てていたことだ。結局仮説を裏付ける実験結果は得られず、現在では眠気覚ましの薬品の副作用だったと結論付けられているとのことだが、それでもアプローチの仕方には惹かれるものがある。
#### 科学的な時差ボケ解消法
多くの人が「睡眠時間は貯金できない」という説は見聞きしたことがあるのではないだろうか。いわゆる「寝だめ」は人体の構造上できず、できるのは負債の返済だけである。
この「睡眠負債」という考え方は本書の核となる概念だ。中でも、睡眠負債がたまっていても夜間は体内時計が覚醒させようとするのは意外だった。つまり、夕方〜夜間に眠くならないからといって睡眠負債が溜まっていないわけではない。

本書では時差ボケ解消法として、この睡眠負債と体内時計が連動していないことを応用して紹介しているので気になるひとは参照されたい。
## プロたちの居眠り
恐ろしい事例も紹介されている。
- 飛行機のパイロット: 9名のうち5名がフライトの最後の10分に居眠りしていた。高度を落として機体を着陸させるまでの30秒間にさえ、うとうとするパイロットがいた。
- 医師: 過酷な労働環境による医療ミス
## 意図的に明晰夢をみるには
明晰夢は実証されており、人為的に引き起こす方法も存在する。実は私自身明晰夢に陥ることが半年〜1年に1回くらいあるため、明晰夢自体の存在は疑っていなかったが、それを人為的に引き起こすことも可能だということには驚いた。詳しくは本書を参照してほしい。
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