20歳からの予防接種

子どものころに予防接種で獲得した免疫は成人するころには失ってるそうだ。

非常事態にワクチンで備えよう

岩田健太郎『ワクチンは怖くない』によると、日本で生後間もなくから定期接種を受けるワクチンはだいたいが10〜20年ほどかけて効果が低下していく。

ではなぜ現役の成人に接種が課されていないかというと、費用対効果が悪いからだろう。つまり、成人は子供に比べると罹患しにくいので予防はやらなくていいだろうという判断だ。同じ理由で、高齢者は免疫も落ちるので死亡リスクの高い肺炎球菌の接種が定められている。

日本で採用されているスケジュールである「日本の定期・任意予防接種スケジュール」をみると、20〜60歳の現役世代は灰色でグレーアウトされ対象外になっていることが分かる。

引用元: 国立感染研究所

ただし、こういった現役世代を除外する運用には、現役世代が無症候性キャリアとなる可能性などを理由に岩田氏をはじめとする感染症の専門医から批判がでている。

また、少なくとも、この基準は平時の衛生環境が前提になっていることも考慮に入れておきたい。震災や周辺国の治安悪化にともなう難民受け入れといった非常事態を考慮すると、成人も予防接種で備えておきたいところだ。

米国で推奨されているワクチン1+8種

実際の例として、予防医療の先進国といわれるアメリカには routine vaccines と呼ばれるプログラムがある。このルーチンワクチンの対象になっている疾病は次の9種類だ(2018年2月時点)。

  • Flu: インフルエンザ
  • Td (Tetanus, Diphtheria): 破傷風、ジフテリア
  • Tdap (Tetanus, Diphtheria, Pertussis): 破傷風、ジフテリア、百日せき
  • HPV: 子宮頸がんワクチン
  • Shingles: 水ぼうそう
  • Pneumococcal: 肺炎球菌
  • Meningococcal: 髄膜炎菌
  • Hepatitis A: A型肝炎
  • Hepatitis B: B型肝炎

これらのうちインフルエンザワクチンは毎年、その他の8種のワクチンは10年ごとの接種が推奨されている。最新の情報が反映されていないが、詳しくは横浜市衛生研究所:アメリカ合衆国の大人の定期予防接種についても参照されたい。

なお、日本の「4種混合」(DPT-IPV)は幼児〜児童向けで、ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ混合を指す。これは成人向けではないので、日本では現役世代が国による救済制度ありの百日せき予防ができない状況となっている。

参考: 現実的な代替手段として、副作用被害救済制度が設けられている輸入ワクチンがある。

東アジア地域

加えて、検疫所の情報によると東アジア地域で発症しがちな疾病は次の通りだ。

  • 麻しん(はしか)
  • 風しん
  • A型肝炎
  • 破傷風

特に麻しん・風しんは優先度が高く、MR(混合ワクチン)の接種が推奨されている。麻しんはヨーロッパを中心に流行しており、注意が必要だ。

参考: ヨーロッパで麻しん患者が昨年比400%に増加

まとめ: 成人が接種したいワクチン

総合して、日本に在住する現役世代の成人(20〜60歳)が接種しておきたい予防接種をまとめておく。どの項目も、この情報は鵜呑みにせず受診の際には医師とよく相談していただきたい。

なお、おたふく風邪は確定診断が難しいらしく、感染したことがあっても成人は追加で免疫を獲得しておきたい。また、水ぼうそうは診断しやすいが、成人後にワクチン摂取すると帯状疱疹の予防にはなる。

費用については、国立国際医療研究センター病院が公開している 価格表 が参考になる。

WHO発行の国際証明書

下記にて日本で接種計画を立てるうえで関連する事項も記載しておく。

  • 自治体の対策事業: 地方自治体が予防接種を助成していることがあるので要チェック(例: 横浜市風しん対策事業
  • 1万円を超えるワクチン: 髄膜炎菌とHPV。いずれも米国でのルーチンにも含まれていることから予算が可能であればぜひ接種しておきたい。
  • 通院回数: 日本脳炎とHPVは期間を空けて3回の接種が必要とのこと。受診のハードルは高め。
  • B型肝炎ワクチン: 医療従事者をはじめとして、血液に触れる機会の多い場合。

参考: 日本環境感染学会「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版」

図表: 集団免疫の概念図。旅行者が絶えず出入りしていることをかんがえると、たとえ国内で根絶されていても予防接種はかかせない。

トラベルクリニックを探そう

予防接種の在庫が豊富な医院は「トラベルクリニック」として運営されていることが多いので探すときに覚えておこう。別に外国への渡航予定がなくても医師からはとやかく言われることはない(受付のひとからは予約の際などに細々と案内はあるが、迷うなら来院して医師に相談するほうがよいだろう)。

例えば都内には成人専門の品川イーストクリニックがあり、私もそこで受診したことがある。

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