日本の解雇規制の問題点は「厳しさ」ではなく「不確実性の高さ」

労働者の解雇については金銭解決による規制緩和が検討されてきた経緯がある。金銭解決について書籍を通してキャッチアップしたので下記にて要点を整理する。

■解雇規制の欠点
厳しい解雇規制は若年層の失業率を上げることが知られている。顕著な例はスペイン。

■日本の解雇規制
単純比較できないがOECDが解雇法制の指標を公開している。正社員(無期雇用)での個別解雇について先進国間で比較すると日本の規制は必ずしも厳しい訳ではない。現行の日本法の経営者にとっての問題点は解雇規制の「厳しさ」そのものではなくではなく、司法の紛争解決手続きに頼る「不確実性の高さ」にある。

現行制度は司法頼りになっていることから、被雇用者は多大な手間を案じて泣き寝入りしがちである。一方、雇用者にとっては訴えられるかどうかは読めないし、補償額は判決によって決まるので解雇コストが不透明である。

また、労働分野の弁護士は現行制度の利害関係者であり、統一ルールによる金銭解決を敬遠する背景になっているのではないか。

■完全補償ルール
現行の「無効ルール」は柔軟性に欠くため、川口ら (2018) は「完全補償ルール」による金銭解決を提唱している。完全補償ルールとは次の通り。

企業が従業員を解雇するときには, その従業員がその後の職業人生に被る 賃金面の不利益をすべて補償(完全補償) しなければならない。

シンプルな前提で理論が組み立てられているので、議論の土台としては優れている。添付画像にて補償額の例を示す。ただし、これらは100%会社都合の場合の算定額であり、労働者側に瑕疵があればそれに応じて割引される。

■補論

解雇規制の厳しさを国ごとに比較できるよう、世界地図に描き入れた図がOECDにて公開されている。

■文献
大内伸哉, 川口大司. (2018). 解雇規制を問い直す. https://amzn.to/2QfeihD

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