Audibleで「読書」に親しむ

書籍をフィクションとノンフィクションに大別したときに、後者の比重が高い人に向けて本稿を贈りたい。きっと、もう少し小説などを読んで生活を豊かにしたいと考えていらっしゃることでしょう。そんな悩みを抱えるあなたにオーディオブック(具体的にはAudible)をおすすめします。

■ オーディオブック入門

ここ数ヶ月、夜な夜なAudibleを聴いて見出したオーディオブックの利点と欠点を書き下してみます。

  • 最強の睡眠導入になる。いきなり睡眠の話かよと思われた方は『ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか』[書評] の一読をおすすめしたい。現代人は圧倒的に寝不足なのだ。オーディオブックを聞いていて眠ってしまうのならば、それだけ寝不足な証拠だ。まずは健康を優先して充分に睡眠をとろう。
    • 夜、スマートフォンの画面を眺めると脳が覚醒してしまい眠れなくなる。しかし聴覚メディアならそんな悩みから開放される。
    • ただし、寝落ちした次の日に「どこまで聞いたか」を思い出しながら頭出しするのは面倒な作業だ。どうにか技術的に解決してほしいところだが、それ以外にアプリとしての不満は特にないので安心してほしい。
  • 心に響く、印象に残る。実感ベース(N=1)だが、目を閉じて耳でストーリーを聞くと物語に没入しやすい。そのためオーディオブックは小説を消化するのに向いている。恐らく「ストーリーテリング」に最も適したメディアが音声なんだと思う。現代人は小説といえば印刷物という先入観があるが、それは保存と配布の都合で製本されることが多いだけで、人類史において口承が「物語」の主要な伝達手段だったはずなので人間の脳が物語を受容するには音声インターフェイスこそが適しているのではないか。おすすめタイトルは心にズーンとくる『わたしを離さないで』。
    • 逆にノンフィクション作品などの実用書は図表や脚注が重要になりがちなので要注意。特に紙の新書などは目次から気になるところだけをかいつまんで読むことで単位時間あたりの情報量を増やしやすい。一方、オーディオブックは冒頭からシーケンシャルに読み進めることしかできないので情報圧縮の密度は電子書籍などに比べると劣る。ただし、小説はそもそもシーケンシャルな読み方しかしないので欠点にならない。
    • 実用書の視聴体験に大きな難があるわけではない。『サピエンス全史』など分厚い本も気持ちよく聞ける。むしろストアでのリコメンデーションから察するに売れ行きはノンフィクションが多いようだ。恐らくユーザー層に偏りがあるのだろう。
  • 言語学習に向いている。おすすめジャンルは自叙伝。品揃えは英語に限られるものの、著者本人が朗読している本もある。リスニングに役立つのはもちろんのこと、スピーキングに活かすこともできる。例えば「未視聴」の方は、ぜひ “How to American” を試し聴きしてほしい。著者の Yang はスタンドアップコメディアンとして鳴らした俳優ということもあってか、発声が聞き取りやすい。彼にとって英語は第二言語で、確かにアクセントはあるが不思議と内容がスッと入ってくる。それだけ彼の表現のパターンから盗める技が多いということを意味するわけだが、実は語彙やスピードが制限されるので非ネイティブスピーカー同士が「聞き取りやすい」ところまでは当然なのだ。この本ではアジア系にとってアメリカ人に受け入れられやすい切り口や話題の持って行き方が参考になり非常に得るものが多い。
    • ただし例外もある。中国語の人名や地名は漢字の方が分かりやすいらしい。SFの『三体』がまさにそうだと聞いて二の足を踏んでいるところ。ところで書き文字のない自然言語は枚挙にいとまがないが、口語を持たない自然言語はほぼない。これを踏まえれば言語とは本来、まずは耳と口で習得されるべきものなのかもしれない。
    • 無駄な出費をしないために購入する前に試し聴きはしてほしい。例えば正統派なBBC英語 “A History of the World” のナレーションもあれば、演劇風にインド訛りを再現した小説 “Midnight’s Children” もある。後者は良質な娯楽としてはともかく、リスニング教材としては難を抱えている。

以上です。

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