不動産投資信託 (REIT) は発展途上の金融商品でありながらも、伝統的な資産クラスとの分散効果が広く認められているのが代えがたい魅力だ。
■ 機関投資家の動向
公的年金基金でありながらリスク選好型の投資で知られる米国の CalPERS (2018) はポートフォリオの8%をREITにあてている。
他方、世界最大の公的年基金でもある日本の GPIF (2021) においてはREITが 0.70% を占め、オルタナティブ投資には5%の上限を設けている。リンク先の島田らによる研究ではTOPIXとNOMURA-BPIにJ-REIT指数を組み入れたポートフォリオは有効フロンティアが改善すると示されている。
■ 手続きの煩雑さ
機関投資家の進出に合わせて個人の投資先としても選択肢に組み入れる余地はあるが、手続きの煩雑さが課題となる。まだ日本ではREIT銘柄を選ぼうとすると投信よりETFのほうが信託報酬が安い。
- Jリート 税込 0.1595%
- Gリート (先進国 ex-JP) 税込 0.187%
例えばeS全株と変動10年のみでポートフォリオを組んでいるところに1%のREIT銘柄を買い足していきたい。投信は毎月の積立で、四半期ごとに手動で国債とETFをターゲットに近づくよう購入するのが現実的だろうか。

■ 借り入れの返済
一般世帯では資産配分が不動産に偏る傾向があり、わざわざREITでその偏りに拍車をかけたくはないと考える向きもあるだろう。
そもそも住宅ローンの借入があるなら(税制や長期金利の動向次第では)リスク資産ではなく 繰上返済 を優先すべきところではある。留意点としては、ローンの返済は金融商品と違って後から売却や解約による「現金化」ができないので手元の生活防衛資金は厳密に分離しておきたい。また実質的に団信の保険金額を目減りさせる点にも考慮しておきしたい。
コメントを投稿するにはログインしてください。