無駄な会議を減らすための指標として、会議の時間を予算制で割り当てられないか考えてみたい。
会議のコスト管理
サイト信頼性エンジニアリングには エラー予算 を確保するプラクティスがある。適切にリスクをとるためにエラー総量を事前に計画をしておくことに主眼が置かれている。
とかく嫌われがちな会議だが、生産性の高い会議もあるので一律で悪いわけではない。そういう意味ではサイト運営におけるエラー予算と少し性質が似通っている。
であるならば、会議の時間を予算化できないだろうか。
- 四半期ごとに会議の適切な分量を見積もり、それに沿うように動く
- 会議にどれくらい時間を費やしているかをトラッキングして、総量を管理する
これらの取り組みにより、会議を最適化することを目指す。たしかに予算化にあたっては手間がかかる。しかしその管理コストをいとうようでは、時間という貴重なリソースを費やすことに無頓着すぎるのではないだろうか。
もし見積もりが甘いと、会議の時間が足りなくなったり、逆に余ったりするだろう。そうであれば初期段階ではシンプルにトラッキング結果を公表するだけでもいいかもしれない。そしてフィードバックにより見積もりの精度を高めていけばよい。
※とはいえ試算はGoogleカレンダーのリソース利用実績などから導けるので、それほど大きく外すことはないはずだ。
また、予算化にあたってはあくまでチーム運営の指標の1つとして見える化する程度が適切だ。かりに予算達成をもとに賞罰を設けてしまうと、必要な会議が開かれなくなったり、必要な参加者が招待されなくなったりする恐れがあるためだ。
誘導型の算出式
予算化にあたっては、高効率な会議ができるように算出式に工夫を加えてみたい。次に例を示す。
- 参加者数が2名以下の場合は算入しない
- 会議には参加者数に応じて係数を掛ける
- リモート会議には減免措置を講ずる
- あらかじめ設定した時間をオーバーした場合は係数を掛ける
- 参加者の業務時間外に相当する場合は係数を掛ける(タイムゾーンに留意すること)
参加者数に応じて傾斜を設ければ、非効率になりがちな大人数の会議を避けるようになる。逆に1対1のきめ細やかなフォローアップは疎かにしないために免除しておこう。むろん全社員のオールハンズやタウンホールに意義を見出す組織も少なくないだろう。そうであれば、しっかりと予算取りをすれば良いのだ。
とはいえ「時間」は誰に対しても公平なので(だからこそ貴重なわけだが)、それほど凝った算出式は不要だろう。むしろ、誘導型のルールを増やすことは避けたい。例えば、シンプルな計算式でも、定例会議は予算を浪費しがちだから極力廃止していくといった動機は十分だ。最低限、自動で計算できるようルールだけにはしておきたい。ルールを増やしすぎて必要な会議が開かれなくなる事態に陥ると本末転倒だからだ。
蛇足: 個人的には、ポーリング方式の会議よりはイベント駆動の会議の方が好ましいと思う。むしろ定例の会議は毎朝のスタンドアップと隔週のオールハンズくらいに集約しておきたい。